10倍速く読める≠10倍速く理解できる『あなたもいままでの10倍速く本が読める』

[新版]あなたもいままでの10倍速く本が読める
ポール R.シーリィ
フォレスト出版
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 この本を読んだ目的は、勝間氏の著作中で触れられていたフォトリーディングに興味を持ったからである。勝間氏によると、書籍だけでは身につかないからセミナーがオススメとのこと。確かに、2日間セミナー約10万円で10倍速く本が読めるようになるなら、投資としてはありかとも思う。とはいえ、まずはフォトリーディング開発者が出している公式本を読んでおくことに意味はあるだろう。
 一字一句、脳内で心の声で読んでいくのは古い読書法であり、読書のパラダイムシフトが必要だというはわかる。また、開発から30年くらいしかたっていない新しい手法であるから、うんぬんかんぬん。これも勝間氏の言だったか、手法や脳科学はどんどん進歩しているから、いつまでも古い習慣、手法にこだわることもないというのも一理ある。ちょっと読書から遠ざかっていた間に、最新科学で昔は当たり前だったことが否定されたり、わからなかったことがわかってきていたりと、ほんの10年足らずでも進歩の激しさを実感している。
 フォトリーディング・ホールマインドシステムが正式名称。フォトリーディングでいかに潜在意識に取り込んだものが顕在意識に落とし込めるのか、ここが一番の疑問、興味はあるが、その他のスキルであるアンカーワードを探したり、スキタリングやシントピックリーディングなどなど、拾い読みなのか?と思えなくもない。ただ、読書の目的をその本を読むことで自分の知識・知恵を増すということなら、こういう読み方で数多く読んだほうが理にかなっているのかもしれない。これが古い読書法を捨てて、新しい手法を学ぶということなのかもしれない。
 それに、このくらいのスピードで読まないと読みたい本がどんどん溜まっていく。普通の読み方をしていると、読書習慣を変えた現在でさえ〜20冊/月が関の山。これではまだまだ読みたい本の冊数に対して少なすぎる。。。
 
 10倍速く読める≠10倍速く理解できる
 こういった速読法の対象となる本は、速読しやすい本であるということもあると思う。いわゆるビジネス書という範疇だろう。そのものズバリ、本書はビジネス書の速読のための方法である、とうたっている本もあるくらいだ。それはそれとしてよい。
 ただ、自分が読みたい本の中には数学、化学、物理などの専門書があるわけで、こういった書籍はたとえ10倍速く読めても10倍速く理解できるわけではないだろう。そんな能力が身についたら、言うことはない。