熾烈な開発競争を垣間見る『バッテリーウォーズ』

バッテリーウォーズ 次世代電池開発競争の最前線
日経BP社 (2015-11-26)
売り上げランキング: 40,105
 仕事で電池材料を検討するチームの一員となったことをきっかけに、開発に対するモチベーションを高めるため、次世代電池開発の(2015年発売当時あたりの)最前線を垣間見るために読むことにした。電池開発は世界的に熾烈な開発競争が繰り広げられており、バッテリーウォーズと書名が物語るほどらしい。電気自動車が本格的に普及するためには必要不可欠な技術であり、昨今も盛り上がりを見せている。
 
 本書は海外(アメリカ)からの視点で描かれてはいるが、いかに開発現場、最先端の研究の場での開発競争が熾烈かをうかがい知ることができる。大変だろうが、このようなホットな分野に携わることができたら研究者冥利に尽きるだろう。
 
 熾烈な最前線の研究開発の場で、どんな意識、モチベーションで開発に向き合い、取り組んでいるかがありありと描写されている。市場規模が大きく、競合(強豪)ひしめく中で開発するとはこういうことなんだな。一方、自社内ではまだこれほどの熱を感じられずにいる。これほど規模の大きな市場に対して、こんな少人数チーム・低予算(事業ドメインですらなく、参入してすらいない)でどう立ち向かうのか?途方に暮れることしきり。会社に認められる成果を挙げてテーマアップするのが困難、もっと予算をかけてすら難しいだろう、予算をかけられる材料を提示する必要はあるものの、といろいろなジレンマに直面し、考えさせられる契機とはなった。