エラーを見込んだ技術『ゲノム編集の衝撃』

ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー
NHK出版 (2016-07-27)
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 この本を読んだ目的は、ゲノム編集について知るためだ。既に1冊(『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書) 』)読んでいるが、同じ分野の本を複数冊まとめて読むのがいいというしね。

 この本では、『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書) 』では触れられていない説明もあり、読んでよかった。例えば、クリスパー・キャス9は修復ミスをするまで切断を繰り返すことで、結果としてノックアウトさせることができるという説明がそうだ。すると修復ミスを見越した技術ということになるな。生物の特性を活かした技術と言えるな。
 また、目的遺伝子配列と同じ(だが、意図しない)配列はありうるということ(オフターゲット)についても触れられていた。『ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書) 』でわいた疑問に対する説明だ。

 従来の遺伝子組み換えがそれほど完璧でないこと、それに対してゲノム編集がまさに"編集"という精度で、簡便に行えるということがよりわかった。これは、本当に難病治療に実用化されていって欲しい。病気以外のデザイナーベビーが現実化しそうな点では末恐ろしくもある。