欲張ってはいけない『SINGLE TASK 一点集中術』

SINGLE TASK 一点集中術――「シングルタスクの原則」ですべての成果が最大になる
 この本を読もうと思ったそもそもの動機は、1つのことをやっている時にも他のことが気になり、集中が続かないことが多く、本書表紙の『一点集中術』を身に着けたいと思ったからだ。例えば、読書をしている時に、「あ、そういえばあれはどうだったかな」「今日はあれをして、これをして、こうしてみよう」などと、読書そのものから集中がそれてしまうことがよくある。これはマルチタスク、シングルタスク、ということではない。*本書を読み終えて随分経った後、別の本(『集中力 パフォーマンスを300倍にする働き方 』)で知ったのだが、これは「マインドワンダリング」という方が適切だろう。
 
 ということで、本書はマインドワンダリングを解消させる術ではなく、マルチタスクよりシングルタスクの方が良いよ、その術を身に着けよう、という内容だ。本書のシングルタスカー度テストでは、そこそこいいスコア(マルチタスカーというより、既にシングルタスクカーより)であった。
 マインドワンダリング対策として本書で有効そうなのは、「後でやろうと心に決める」、「その場でメモに残しておく」ことが挙げられる。本書でいうところの、「パーキングロット」法だ。外部記憶に移すということでもある。
 シングルタスクかマルチタスクかといったら、自分はシングルタスク派かな。本も一度に何冊も並行して読むよりも、読む本を決めて、その本を読み終えるまで次の本にいかないという方法で読書が改善した(つまみ食い的に読みかけの本ばかりたまって、個々の内容は忘れがちになってしまったりしていた)。
 
 そもそもマルチタスクという行為は、効率という観点だけでなく
ハーバード大学の研究によれば、注意を分散させていると、情報を記号化しにくくなる。すると記憶力が低下し、なにも思いだせなくなる事態も生じる。いわゆる「マルチタスク」行為は「認知処理能力を低下させ、より深い学習を妨げる」のだ。”
 らしいのだ。効率が悪いだけでなく、脳の処理能力すら低下させてしまう。良いことないじゃん。