読書“冊数”に囚われては行けない!『読書の技法』

読書の技法
読書の技法
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東洋経済新報社 (2013-05-02)
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 この本を読んだ目的は、佐藤優氏の読書術を学ぶためである。ちなみに今回こそは、以前に帯で早とちりして読んだ『新・独学術――外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法 』とは違い、正真正銘佐藤優氏の著書だ。『新・独学術』も楽しく読ませてもらったが。
 この本でもまず目についたのが、表紙の月平均300冊、多いときは500冊という冊数だ。この冊数には驚いたが、読んでみるとその冊数の内訳とでもいうものが分かる。1冊5分の「超速読」で読むべき本と必要ない本を仕分け、知識を身につけるための30分で読む「普通の速読」、2〜3冊の「熟読」、と読む本、読む目的によって読み方(つまりは読むスピード)を変えているわけだ。こうした“読書術”の使い分けが肝である。全ての本を同じ読み方しないということだ。全てを速読するわけでもなく、全てを熟読するわけでもないわけだ。
 今は作家業が本業であるということで、そもそも読書が仕事の重要な一部と位置づけられている。少なくとも1日4時間は読書に割き、6時間は充てるとのことで、その点も普通の(作家業以外の職業)人が、こういった人と読書量を比較してはいけないなと思った。自分の最近の読書時間は、1日3時間程度(Audible含む)で20冊/月だから、15倍の読書時間を宛てたとしても全然追いつかないわけである。もっとも、こうした読書術の本を読み、読み方を変えるということを知った今でも基本的にどの本も同じ読み方をしているわけで、これ以上読む本が増えれば必然的に読み方を変えざるを得ないだろう。
 積読本が5〜6冊たまったら、超速読して次に読む本、読むべき本を選別するというのもありだなと思った。
 
 読み終えてみて、熟読でないと知識は身につかない、広く浅く何冊か読むよりも、1冊を熟読して身につけた方が良い、という点には共感できた。やはりそうだよなー。速読と同じスピードで理解し、血肉となったらそんな良いことはないもんな。
 また、本書でも『新・独学術――外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』同様に、知識の欠損部分を大学入試問題、参考書で埋めるというのをススメている。著者いうところの「プライドの檻」に閉じこもっているのは、百害あって一理なしだな、と改めて感じた。虚心坦懐に認めるべきだ。
 
 余談だが、こうゆう読書術、速読術関連書籍で月○○冊!といっているのは、途中で読むのをやめたり、読むべきか否かの選別読書、本書でいうところの1冊5分の超速読での冊数もカウントされているようだ。どうしても速読術に触れたり、読書術の本を読んだりすると1ヶ月あたりの読書数が気になってしまう。冊数ではなく、内容理解度、自分の知識、知恵がいかに増え、いかにアウトプットにつながるかの方が重要なのだ。分かっちゃいるんだけど。