どんどんSFに近づく『スーパーヒューマン誕生! 人間はSFを超える』

スーパーヒューマン誕生! 人間はSFを超える (NHK出版新書)
 書名に目が行き、科学の進歩による人間の改造がどこまでできていて、どうなっていきそうか、最近の状況を知るために読んでみた。
 SFの技術がまさに現実化しようとしている最新技術をいろいろと知れ、雑学としても、科学技術の進歩を知るのにも楽しく読めた。
 
気配=音響特性
 科学技術による人間の改造の話題より、本書でもっとも印象に残ったのは気配を感じるメカニズムだ。ある意味、「気配を感じる」というこれまでは科学では説明できないことが、最新科学・研究によって明らかになってきていることに感心した。
そこに物や壁があったり人が存在することで、空間の音響特性が変わるというのだ。人は足が落ち葉を踏む音を聞くことで近寄ってくる存在に気づくわけではなく、物理的な物があることで周囲の空間の音響特性に変化が起こり、環境音のわずかな変化を聴覚で「見て」いるのである。したがって、たいていの人は耳せんをすると壁にぶつかってしまう
 気配を感じるのは、物があることによる音響特性の違い、だったとは。それを感じられるほど感覚が研ぎ澄まされるというのもすごいし、その音響特性の違いを感じ取れるポテンシャルが人にあるのもすごい。