知的になるには知的トレーニングが必要なんだ『知的トレーニングの技術』

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筑摩書房 (2017-02-03)
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この本は、自分の頭で考える、論理的思考、知力をつけるための本を何冊か読んでいる時に出くわした。
　読んでみると、具体的なトレーニング(の技術)が出てくるわけではなく、いろんな思想家、文筆家、哲学者等々の考え方を著作から引用して、こう考えている、誰それはこういっている、など著者の博識披露のように感じてしまったのが第一。
　読書についても触れられており、速読・多読の肝は拾い読み、であったり、速読は読むべき本と読まなくてよい本を仕分けるためのものだ、ということが述べられており、最近読んだ最近の多読・速読本と同じことが述べられている。時間的に本書の方が先であるし、もっと昔(ニーチェなど)も多読について戒めているとのことだから、知らなかっただけで、こういうことは随分前から知っている人には知っている内容だったのだな、と痛感させられた。

　少し長いが、拾い読みについて引用しておく。

“本は一ページ目からはじまって終わりのページまでノンブルがふってあるが、だからといってはじめのページから順に読みとおさなくてはならない、というきまりはない。また、その本の全部に目をとおさなければいけないわけでもない。雑誌的な性格（もっとすすむと新聞的な性格）がつよい本であるほど、好きな記事をひろい読みすればことが足りてしまう。娯楽的なひろい読みばかりでなく、探索術のためにも、ひろい読みのトレーニングをしておく必要がある。これは、本を雑誌として読む娯楽的ひろい読みとはちょっとちがい、目次や索引を利用して本を事典として読むことだ。必要な情報を知るための「引く本」と考えるわけだ。”

なるほど、新聞や雑誌は形態は違えど拾い読みしてるし、できてる。自分、拾い読みやってるじゃん、と。

　久々に読んだ長い、読み応えのある本だった。それもそのはず、旧版は1980年代初頭だ。時代感を感じさせる(昭和の香り？)文章・本だった。1ページにも最近の本にないようなぎっしり文が詰まっている（電子書籍であっても）。書名の「知的トレーニングの技術」、というと書名と本の内容がマッチしていない感はあった。著者のいうところの読むべき本、読まなくて拾い読みで済ます本、という区分でいえば、少なくとも今の自分にとっては時間をかけて読む価値があるかな？と疑問に思ったのも正直なところだが、なぜか最後まで読み通してしまった。読むこと、読み通すこと自体が知的トレーニングだったのかな、とも思ってしまう1冊であった。こういった骨太の本は最近は少ないな、とふと思った。書店のベストセラーの棚にある本は大きな文字で、行間も広く、1ページあたりの文字数が昔に比べて少ないもんな。