意外と早く実現しそう『量子コンピュータが人工知能を加速する』

量子コンピュータが人工知能を加速する
日経BP社 (2016-12-13)
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 この本を読む目的は、想定外に実用化スピードの早まっている量子コンピュータについて学ぶことだ。
 D-Waveのこと、量子アニーリング方式の量子ゲート方式との違いのこと、組わせ最適化問題のことが分かりやすく説明されており、分かった気になれた。ただ、量子アニーリングについては、なぜうまくいくかはまだ分かっていないらしい。量子ビット数と組わせ最適化問題に適応する場合の関係がわかった。
 量子アニーリング自体はアルゴリズムのことであって(シミュレーテッド・アニーリングとの対比)、従来型コンピュータでも実行できる。D-Waveのすごいところは、そのアルゴリズム、というか動作原理をハードウェアレベルで実装・実現したことにある。
 よく、原理や基礎理論は日本人研究者が!ということが言われるが、それを実現したり、実用化したりは先を越されてしまうのがなんとも残念であるし、日本の(日本人研究者の)根本的な問題ではなかろうか?
 それとともに、基礎理論、基礎的研究内容を実用化する(欧米の科学者、ベンチャー企業)の発想がやはり見習うべきではないか。